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其の六 陸軍衛生軍曹 寺○鏡○

Category : 空挺隊員の証言 |

陸軍落下傘部隊の演習を東條英機が観戦していたという珍しい証言。
唐瀬原降下場ではなく、他の演習地での記録でしょうか?



○月○日、内閣総理大臣供覧演習に降下衛生部員として只一人参加の光栄に浴しましたことは實に無量の感激です。
春浅き○○の地、愈々待望の供覧演習だ。
今日この若き我等の度胸と武力を発揮する時だ。
胸は高鳴る血は踊る。
降下演習を明日に控えて落下傘の折畳みも完了、投下用衛生材料の準備も完了す。楽しき夕食に付たのは八時頃。
日夕点呼時、小隊長から「明日は部隊を代表しての演習である。其の責任は重大なり。良く身の廻りを整理し、事故なき様に元気であれ」と注意される。

消燈ラツパと同時に全員床にもぐる。
自分は床に入る前に外に出て、明日の天候を仰ぎ見るば天高く星が燦然と光輝き、明日の晴の効果を待つてゐる如く、飛行場中央には明日の演習を控えて尾翼を休めてゐる輸送機の姿。
事故なき様頼むぞと念願する。
一安心の気持ちにて室に入り見れば、戦友達は皆枕を抱いて明日の夢でも見てゐる如く眠つてゐる。中には傘を前に並べて何事か考へに更つてゐる者もある。多分明日の演習無事故を祈つてゐるのであろう。自分の生命の落下傘を抱き、明日は頼むぞ、確實に開いて呉しこと、思はず傘を撫で廻す。

寝苦しき一夜も爆音に起された。
時計は四時を半ば廻つてゐる。外は漸く白々と明けてくる。
戦友達はまだ夢を見てゐる様だ。
格納庫方向からは整備兵のエンヂンの調整に爆音また物凄く響き、其の内三人、二人と起き始める。
「起床〃」と不寝番の声で慌てゝ毛布を蹴り起きる。皆の者も元気で張切つてゐる。
起床と同時に降下服に身體を包み、外に飛出る。
風は殆んど無風の状態。太陽は燦然と輝いてゐる。
東天に面し厳粛なる遥拝が終り、次で故郷の父母に今日の晴の演習を報告する如く、点呼後永田軍曹の指揮にて準備運動が始る。
〇月の朝風はまだ〃冷たく、肌身が震ひ相である。
身體の曲伸を充分に、又柔軟をして國民体操、青年体操と着々と進んで行く。
九時より小隊長殿の傘装着の点検あり。
主傘予備傘と一秒〃点検が進む。装帯良好。離脱器機能良好。開放ゴム良好と。
又、兵器装着の研究。
午前中は地上訓練、マツト運動、離脱訓練。

晝食後、愈々出發。
降下時間までは一時間半ある。
弾帯(帯剣)、剣銃其の他救急用衛生材料として注射容器(カンフル・モルヒネ液)、三角布、螺旋止血帯、呉氏副木、ガーゼ巻軸帯一、二、三巻を身體に付け、其の上に降下服を着る。
武装降下は初めて故、単独・連續・集團と異つて身體の自由は勿論、實に窮屈!
鉄帽も充分に結び、搭乗準備完了す。

三時も刻一刻と近づき、エンヂンの調節も酣にゴー〃と天地も飛ばんばかりの響をたてゝ、愈々装着準備完了。
小隊長殿の指揮の下に戦友達に送られ、一同元気百倍、格納庫前に整列。
部隊長殿の胸も張切れんばかりの力強き激励に一層元気百倍、又責任重大。小隊長殿の登場用意の合圖にてそれ〃各機に別れる。
元気で行こうと只一言、機内はゴーゴーエンヂンの響に鼓膜も破れんばかり。
操縦席は〇〇大尉殿、機関士、副操縦士と長機降下人員は小隊長殿以下七名。自分は七番降下者として搭乗。
各機搭乗終り、ピーと離陸の合圖が鳴り響く。エンヂンの響も一層強度を増し始めた。
と思ふ間に土煙を後に驀進又驀進。百、二百、三百と滑走して行く。
動揺が無くなつたかと思ふ間に離陸一〇米、五〇米と既に眼下は〇上空。時に十五時三十五分、機は大きく左に旋回。
○○○上空に過ぎ海岸線に出んとする。畠は菜の花、蓮華の花の真盛り。実に箱庭の様である。

○○○の海岸線が眼下に見えた。
機は又大きく右に旋回、海岸線に沿ふて○○方向に機首が向ふ。高度は既に○○米、〇〇〇〇山も眼下の様だ。〇〇河も蛇の如く白銀を流してゐる。汽車自動車等は小蟻の様に滑べり行く。
エンヂンは良好、機内は誰一人として語る者はない。
小隊長殿の顔を見れば、玉の様な汗を流してゐる。皆顔色は地上の時よりも青色に変じ、幾分か気が落着かざる如くに見える。

皆一度予備傘の点検を実施。
離陸後既に四〇分。再び〇〇海岸線が白雪を散したる如く見えて來た。海上だ〃。
眼下大判小判の様に夕日に照され燦然と輝いてゐる。實に見事なる景色だ。
機は大きく左に旋回進むに、飛行場だ。
ピーピーピーと降下準備の合圖が響くと同時に、胸の動悸が高く鳴る。一番二番と鐶を掛け準備の態勢だ。
ピーピー、降下用意。〇〇中尉殿がドアを開いた。右手左手と十分なる降下姿勢。
爆音と共に猛烈なる気圧が機内に流れ入る。益々心臓が高鳴り、大きく腹式深呼吸と共に幾分か胸の動悸が静まつた。

実に無念無想。
ピー、降下。
十字點は眼下一番二番と機會的に皆飛出た。
ヒュー〃!實に不気味な音を立てゝ出て行く……。
ホンの瞬時の間、自分も飛出て居た。姿勢も概ね良好と思ひや、直立の感があつた。
実に機体より飛出た時は深い〃谷間に落込んだ様な氣持である。
開傘するまで僅か○秒であるが、十分、二十分も経過した様な感じだ。まだ〃と思つてゐる内にガンと開傘の衝撃……。

ハツと眼を開くと羽衣が開いてゐる。
五つ六つと戦友達も元気で降下してゐる。
アー、開いた。実は此時の気持ちは文筆にては盡されない。
傘は完全に開いたと同時、地上の東條閣下の姿が浮かんできた。

元気益々百倍、予備傘を取り左側腰部の環に釣下げ、空中操縦に一生懸命だ。
と、約五〇米前方に日の丸が見えた。あ、小隊長殿だ。
各分隊もだん〃小隊長に密集して來た。
三百、二五〇。
地上勤務者の白服姿が右に左に走つてゐるのが手に取る如くに見える。
一〇〇米頃より予備傘を投下した。
地面がグン〃ぶつかつて來る様だ。

着地準備の姿勢も確実だ。
両足を合せて前方の吊策を力一杯引張る。ドシンと着地。
立つた〃、無事立つた。
直に離脱器を取り装帯を脱し、降下服を脱捨てるや腰の銃剣を右手に持ち、小隊長殿の方向に走つた。
物料だ〃。
何より早く物料を手に入れなければならぬ。直に煙幕が張られる。
衛生材料箱も手に入つた。戦斗準備完了。

ダツダツ〃、タン〃と機関銃小銃の一斉射撃が開始された。小隊長殿は左に軍刀、右に眼鏡、其の指揮又旺盛に戦斗は益々醒に、右に散会左に増加と前進又前進。
此の間に在りても傷者の発見に勉める。皆無事かなと左右後方を見渡すと、東條閣下が自分の後方三、四米附近に。
胸に勲章が大きく光り輝かせ、軍刀を片手に立つて演習の状況を見てゐる。思はず口先まで出様としたのを指先で覆つた。
ロイド眼鏡、鼻ヒゲ、新聞雑誌其の儘である。

演習終了のラツパが場内に響き鳴り、全員不動の姿勢の内に東條閣下が退場された。
あゝ終つた。
供覧演習も無事故に終つたのだ。
誰知らず良かつた〃と、顔を見合わせれば玉の様な汗を流してゐる。
衛生材料も無事。其處に部隊長殿がお出になつて、「今日の演習は実に良く出来た。士気も旺盛元気旺盛、良く出来た。御苦労」と言つて帰つて行く。

以上
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