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落下傘塔からの初降下

Category : 空挺隊員の証言 |

長い〃血のにじむ様な地上猛訓練が終りに近づく頃には、練習員達は真黒に日焦けした皮膚にピチ〃と躍る弾力と黒ダイヤを見る様な光澤を呈し、四肢の筋肉がムク〃と盛上つて見るからに頼母しく健康そうで、而も自信満々の様子である。
この頃見学の為部隊を訪れる人々は、彼等の不敵の面魂、立派な体躯、栗鼠の様に敏捷な動作、キビ〃と節度正しい言語態度に驚異と陶酔とを感ずるに相違ない。

然しこの何物をも恐れぬげに見ゆる若者達の胸裏を覗いて見ると、其處には言語に絶した苦悶があることが判る。
それは未知の降下に對する(それはもう旬日の後に迫つている)興奮、不安、確信等の縺れ合つた混然として複雑なる精神状態である。
落下傘塔降下にさへ緊張と不安との伴つた大なる興奮を感ずる。
いくら平静を装つて見ても、純白の絹の落下傘と共にワイヤーによつて引上げられて行く練習員の顔からは潮の引く様に血の気が薄れて行くのが見られ、瞳孔が怪しく光つて時には顔面筋肉の痙攣さへ見えるのである。
試に脈搏を数へて見ると、二〇―三〇の増加を示すのがざらにある。

切放された傘が菊の花の様、多弁な圓周を見事に開き、降下兵は偉大なる奇蹟に遭遇したとでも言いたげな面持ちで、呆然と頭上に蔽ひかぶさつた純白の傘を見上げている。
平易な満足りた氣持である。
静寂と無我の一瞬が過ると、地上からの雑音が遠い奈落からの潮騒の様に迫つて来る。
我に返ると教官の種々の注意や要求が次々と頭に浮んでくる。急いで下を向いて距離目測をし、接地の準備をする。
地上教官のメガフオンが注意事項を叫ぶ。
一安心した氣持が再びグツと引締まる。

足をつけ膝を曲げ、よしと思ふ間もなく芝生の上にコロ〃と投げ出される。
ゴムマリの様に、そうだ上手にゴムマリの様に。
地上勤務員が駆け寄つて来る。「お芽出度う」「御苦労様」等叫び乍ら。

急に嬉しさが込上げて来る。押へても〃押へ切れぬ嬉しさである。
「大したことはないよ」とか「愉快!!愉快!!」等と言つて見たくなる。然し心臓は相変らず、ゴト〃と早鐘を打つているし脈搏はズー〃と流れる様に数を増してゐる。

落下傘塔降下でさへこんなである。
まして蒼空深く駆け上つて、宙に懸つた浮城から支へも手答へもない夢の様に頼りない空間に身を躍せて落込んで行く。
誠に無関心で居られる筈がない。
降下訓練を前にしての練習員の胸中を去来するものは、寝ても起きてもこの「降下」一事のみと言つても過言ではない。
この心的不安、興奮が肉体上に、又精神上にどんな反應を示すだらうか。
以下項を追つて説明する。

「降下の身心に及ぼす影響」より 第一挺進團司令部述
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